やってもいないのに無理だと決めつけていないだろうか? 【短編】

 高校生の頃、定期考査でケツ争いしていた彼、中山弘樹から「優也、一緒に映画を作らないか?」と連絡が来たのは3日前のことだった。

 

 思い返してみても、今までの弘樹からの提案は突拍子のないものばかりだった。

ヒッチハイクで日本一周やってみよ!」

「CD出してみねえ?」

「全裸かくれんぼやろうぜ(照)」

そんな彼の提案に決まって言う台詞はこうだ。

「え、無理。」

 「無理とか逆に無理!」と彼のよく分からない反論を受け流し、今まで一度も提案にのったことがなかった。

 

しかし、これは後で知ったことなのだが、彼は今まで提案してきたもの、全てに挑戦してきていたのだ。ヒッチハイクもCDデビューも全裸かくれんぼも。

 

 

 彼は去年、新卒入社の会社を辞め、自ら事業を立ち上げた。その様子がブログにアップされているが、様々なことに挑戦している彼は本当に楽しそうだ。その反面、僕は楽しく生きることができているだろうか。何かに挑戦できているだろうか。最初から無理だと決めつけていないだろうか。

 

 

 「優也、一緒に映画を作らないか?」

「いいよ。」

「無理とか逆に…え、やるの?」

 

 きっと大事なのは、まずやってみること。

一歩を踏み出すことなんだ。